十束おとはさんのキャリアに学ぶ、異業界キャリアチェンジのポイント

otohasu,idol

かつて、転職に対する世間の評価はネガティブなものでした。

それは、終身雇用を善しとする考え方に基づいた、企業目線での評価だったように思われます。

一方、昨今ではキャリアアップのための転職やより活躍できる環境を目指してのキャリアチェンジは、前向きさや向上心の現れとして積極的に選択されるようになってきました。

とはいえ、やみくもに職や職場を変えればいいというわけではありません。

実際には、転職やキャリアチェンジを成功させるためのポイントがあるように思います。

今回は会社員、アイドル、ゲーマーなど華麗なキャリアチェンジを遂げ、現在は国家資格キャリアコンサルタントの取得にも挑戦なさっている、十束おとはさんのキャリアを支える根っこを掘るべくお話を伺いました。

 

アイドルの経験で磨かれたビジネススキルとは

idol

ー職業やキャリアとして、アイドルというお仕事を捉えた場合、どのような能力やスキルが得られるのでしょうか。十束さんご自身の経験に基づいて教えていただけますか?

十束おとはさん:アイドルってすごくいろんなことが身につく素敵な仕事だなと思ってるんですけど、まずは対人スキルがすごく必要な職業だなって思います。

初めての方と一緒にお仕事することも多いですし、ライブやイベントなどは様々な職種の方が数多く関わって作られています。

もちろんファンの方と、SNS上での交流や直接お会いする特典会を通じても、人に関するスキルが高められるお仕事です。

加えて、やっぱり周りから見られている、大きい舞台に立つっていうところでの度胸やメンタルの強さ、忍耐力などは一般的な職業では簡単に得られるものではないな、と思います。

他には自分をいかに魅せるかという、セルフプロデュース力も圧倒的に身につけられましたね。

私自身は「アイドルである」という意識を絶えず持ちながら24時間生活していたので、自覚や責任が伴った行動を選択する力は身についたように思います。

総じてアイドルをやってみてよかったなと思うことばかりで、かなりいろんな力が身に付く素晴らしいお仕事だなっていうふうに私は感じます。

 

アイドルになったあとも活かされる社会人マインド

idol_business

ー十束さんは最初からアイドルとして社会に出たわけではなく、一度会社員を経験されたあとにアイドルになられたわけですが、会社員の経験はその後どのように活かされたのでしょうか?

十束おとはさん:そうですね、簡単なことなんですけど報連相しっかりしようとか、当たり前に約束した時間の前に着くとか。

あとは、就活をして企業に入社した経験があるので、学生時代と違って、社会には自分とは意見が異なる人がいて当然であるという認識を持っていました

そのため、自分と違う意見や考えを持っている人がいても、嫌な気持ちになることはなく、すんなりと受け入れることや相手を尊重することができていたのではないかと思います。

一度社会を知って、入ったので、いい意味で何かフラットに物事を見られる力が少しついていたのかな。

他にも、言葉遣いとかビジネスメールとか、そういうものも身についた状態でアイドル業界に入ったので、1人で現場に行くときも不安なく行動できたということもありました。

もちろんデメリットもあったと思います。

10代でアイドルになった人の多くは、純粋無垢な状態で業界に入っているので、フレッシュさという魅力があると思いますが、私にはそれが不足していたかもしれません。

それは一般的なアイドル像からすると良いことではなかったのかも知れませんが、私の人生にとっては社会を知ってからアイドルになったことは良いことだったと捉えています。

 

アイドルというキャリア選択

idol

ー一般的にアイドルを目指す方の多くは、幼い頃からの憧れや夢を実現したいという想いから社会に出ずに、アイドル一択という人が多いと感じるのですが。十束さんはどうして一度社会人を経てアイドルという道を選ばれたのでしょうか?

十束おとはさん:これは完全に巡り合わせなんですよね。

芸能界に入りたいっていう気持ちがないまま大学に進学して、そのままみんなと同じように就職したんですが、就職先が自分に合わずに辞めてしまったんです。

若干引きこもりみたいな感じになっていたときに、好きなゲームの応援団のオーディションがあるのを知ったんです。

一度社会には出てみたので、今度は自分のやりたいことをやってみたいなと思って、挑戦したら運良く合格したという流れでした。

私元々、アイドルや二次元のものがとても好きだったんです。

思春期は全然学校に馴染めなくて。

日中、学校にいるときがわりとつらい時間だったんですけど、家に帰ってきて好きなものにパワーをもらって、明日も頑張ろうって。

アイドルは自分にとって、生きる希望というか、生きる力をもらっている存在でした。

自分がなるなら、そういうアイドルになりたいっていうのもありました。

自分のやってみたかった気持ちとタイミングがマッチした、っていう感じです。

 

アイドルの経験で見えた自分の課題と強み

idol_stage

ーアイドルは、自分のやりたいことでもあったし、自分の人生の柱というか支えてくれる大きな柱の一つでもあったってことですね。
そこから実際に、自分がアイドルというキャリアを得ることになって、どんな気づきがありましたか?

十束おとはさん:私は歌や踊りの経験が無かったので、実力があるグループの中では、他のメンバーに追いつくためにも「頑張らなければいけない」とずっと思い続けながら活動していた数年間でした。

その中で、私は与えられたものに対して、頑張ろうとするあまり自分を追い込んでしまうという課題を発見しました。

自分がこれって決めたら突き進んでしまう傾向があるんです。

特にアイドルという職業はパフォーマンスが映像としても残りますし、お客さんにお金をもらってライブをする以上、みんなに満足してもらえるステージにしたいし、自分をも満足させられるステージにしたい。

そう思ってしまったら、どこまでも頑張れるなっていう気持ちになってきてしまって、必要以上に自分を追い込んだ結果、自分にダメージが及んでしまうようなこともありました。

途中でそれは駄目だなと思って、自分を見つめ直す良いきっかけになりました。

反対に、私は割と緊張しないタイプだなっていうアイドルになって発見できた自分の強みもあります。

ずっと自分のことを引っ込み思案だと思っていたのですが、実際にはどんな人前に出たとしてもそんなに緊張しない、これはアイドルになって気がついたことでしたね。

 

出会いと経験によって自分らしさを発見、表現できるように

idol,school

ーアイドルという経験によって、自分の色んな側面に気がついたんですね。アイドルになる以前の十束さんはどんな人だったと今振り返って思いますか?

十束おとはさん:末っ子気質というか、自分から立候補してリーダーになるとか、何か仕切るみたいなこととか全くなくて、本当に教室の隅で漫画読んでるみたいなザ・オタクでしたね。

当時は、学校が好きじゃない、という感情がベースにあったのでなるべく目立たないようにというか、目立つ必要性とかも感じてなくて、好きなことだけできてたらいいなって思ってはいたので、今よりかはだいぶ引っ込み思案だったと思います。

でも、ポジティブで元気な感じっていうのは、ずっと持ち続けているので、根っこの部分は変わってないと思います。

 

ーそこからどんなプロセスを経て今の十束さんになっていったのでしょう?

十束おとはさん:大学に入っていろんな人に出会って、バイト先でもいろんな人に出会って、会社員になって、アイドルになって。

皆さんもそうだと思うんですけど本当にたくさんの人に出会っていろんな考え方を吸収して、もっと自由に生きていいんだなっていうことに、その過程で気がついた部分もあります。

アイドルというやや特殊な経験によって、気づく速度にブーストがかかったってのは絶対あるんですが、皆さんと同じようなプロセスを経て、成長してきたかなと思います。

社会人になりたての頃は、自分のことを客観視できてなかったのですが、アイドルになったことによって、自分が少しだけ見えてきました。

人が好きとか、人のために何かをするのが好きとか、そういう気持ちを持っているんだなっていうのは、やっぱりアイドルになってから感じた、今後の自分の生きていく軸ですね。

アイドルといっても、人それぞれ違うと思うんですけど、自分は何のためにアイドルをしてるのかっていうと、完全に応援してくれる人の人生が楽しくなったらいいなっていう気持ちでやってました。

かつて自分がそうしてもらったように、自分もそうありたいという気持ちでやってきたんです。

やってみると、想像以上にファンの方との絆みたいなものが、めちゃめちゃ強くて、本当にそれが支えになって頑張れたんですよね。

人が喜んでくれるのとか、その人の人生に関わることができるのとかって、すごいことだと思うので、今後の人生もそういう使い方をしたいな、っていう想いにも気がつきました。

 

アイドルからのキャリアチェンジで気づいた成長

idol,meeting

ーかつてアイドルに支えられたという原体験があるからこそ、恩返しのように自分も誰かのそんな存在になりたいという強い想いを抱いたんですね。そこから、次のキャリアとしては興味のあったゲーム業界を選ばれたわけですが、アイドルからのキャリアチェンジをしてどんな気づきや変化がありましたか?

十束おとはさん:会社勤めの経験があったとはいえ、以前の会社とは働き方が異なる部分も多く、資料作成や会議の参加の仕方など新しい発見がたくさんありました。

また、イベントのお仕事などでは、今までとは逆の裏方の経験において、表に出た経験があるからこそわかることも多い一方、裏方の経験をしたことによって、表に出るときには新しい視点が得られていたりもします。

一方で、初対面の方とのやり取りだったりとか、アイドル以前の自分だったら緊張してたかもって思う場面も、全然何の問題も無くなりました。

アイドル時代の特典会などで得たファンの方の名前やお顔を覚えるスキルは、今では大人数の会議や打ち合わせで、すぐに顔と名前を覚えて、いろんな話をするような場面に活かされています。

とはいえ今はまだ、仕事の流れ全体を知ることはできていないと感じているので、もっともっと色んなことを吸収していきたいなというふうに思っています。

加えて、今は以前ラジオ番組で知った、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得に向けても勉強しています。

 

ここからの人生はGIVEに徹する

idol,study

ーキャリアコンサルタントの資格取得を目指されていることは、色んなインタビュー記事や出演中のポッドキャストでも触れられていますが、実際に学び初めてみてどうですか?

十束おとはさん:もう学校には通い始めて3ヶ月ぐらい経ったので、少しずつ知識が入ってきて考えも変化してきたなという感じがします。

キャリアってお仕事だけじゃなくて人生そのものなので、自分の人生をこれからどうしていこうかっていうことを改めて考え直すきっかけにもなりました。

あとは実践的な部分で行動も変化していて、例えば、人の話の聞き方を1から学んだので、普段人の相談とかお話聞くときもその影響がちょっと出てしまって。

キャリアコンサルタントとしてお話を聞くときに大事なのは、同感ではなく共感したり受容したりすることだと言われていて、これを学ぶ以前の自分は相手の方の心情とか、今まで培ってきたものとか一旦抜きにして、ただ褒めてしまうようなすごい浅い聞き方だったなと反省したりして。今も自分を変えている最中です。

現在は練習のためにいろんな方のお話を伺ったりしているんですけど、この人の主訴は何だろうとか、本当のやりたいこととか、本当の人格はどこにあるのかなとか、そうやって人のことを考えて話を聞く経験って、あんまり今までなかったと思うんですよね。

キャリアコンサルタントを学び始めてからは、とにかく包み込むというか、受け入れようとする力が少しずつ高まってきたように感じます。

私は、アイドル時代にそのファンの方にたくさんの愛を与えて頂いたので、もう一生分いろんな人が、愛してくれてくれたから、ここからの人生は私が皆さんを幸せにしますっていう気持ちがあるんです。

自分がtakeするフェーズはもう終わったので、ここから先はgiveするフェーズだと思っています。

 

 

キャリアコンサルタントを知ってもらうためにできること

idol,podcast

ーその学びの過程をポッドキャスト番組『キャリアコンサルタントをもっと身近にー元アイドルがキャリコンを目指すー』で配信されていますよね。

十束おとはさん:キャリアコンサルタントを学ぶ上で感じているのが、この資格って、どんなものかを全く知られていない資格だなということなんです。

何となくキャリアコンサルタントという名前だけが最近ひとり歩きしていて、聞いたことあるけど、実際どんな資格で、どこに相談行けばいいの?みたいなのが全くわからない資格だと思っているんです。

ポッドキャストは、私とベテランのキャリアコンサルタント松田さんの二人で行っているのですが、もっとキャリコンを身近に感じてもらえるよう普段のお仕事の悩みとかと結びつけながら、分かりやすくたくさんの方に知っていただこう、という番組です。


ーどんな方に見てもらいたい番組ですか?目標があれば教えてください。

十束おとはさん:私と同じように今キャリコンを目指されている方に聞いていただくと、わかるわかるっていうことが多く、仲間が1人増えた感覚になると思うので是非聞いてみてください。

それだけではなくお仕事をされている方だったら、誰にでも参考になるお話ばかりだと思います。

番組では、キャリコンを目指している人のお悩みだけではなく、日々のお仕事のお悩みへも松田さんが回答していくので、プロの言葉一つ一つを学ぶことができます。

例えば、自分の部下に伝える話し方にも参考になるような、誰にとっても勉強になると思うので、聞いてみて欲しいです。

私のようなキャリコンを目指してる立場からすると、松田さんのような方とご一緒できる機会は本当に貴重な体験だと思うので、たくさん技を盗みたいと思って日々吸収しています。

そして、まだまだ皆さんがキャリコンに相談するというのは、ハードルが高いように感じられてしまっているので、この番組をきっかけに身近に相談できる存在にしていきたいなと思っています。

 

***

今の時代、やりたいことを諦める理由が少なくなってきたように感じています。

キャリアチェンジを成功させるために必要なのは、行動する勇気と掴んだチャンスを活かす努力を積み重ねること

そして、どうやって行動すればよいのか、どんな努力を積むべきなのか迷ったときには、キャリアコンサルタントに気軽に相談をしてみれば良いのです。

そんなふうに考えると、やりたいことに向かってキャリアチェンジも少ししやすくなるのかもな、と十束さんのインタビューを通じて感じました。

十束さん出演のポッドキャストは、キャリアについて誰もが知るべきことが多く紹介されていますので、是非一度聴いてみてくださいね!

 

十束 おとはさん
とつか おとは|ゲーマータレント、MC、ライター、会社員


大学卒業後、一般企業に就職。その後、アイドルグループ「フィロソフィーのダンス」のメンバーとして約7年活動。
同グループを卒業後は、兼ねてより興味のあったゲーム業界にて表舞台だけでなく、裏方にも携わりたいという想いから、スタッフとしてeSports関連業務に従事。また、就活悩み相談を行うラジオ番組への出演をきっかけに、キャリアに関する専門知識取得への関心を高め、現在は国家資格キャリアコンサルタント取得に向けて勉強中。
出演番組:キャリアコンサルタントをもっと身近にー元アイドルがキャリコンを目指すー

 

関連記事

「自己分析」は就活生のするもの。一人前の大人になった今、自己分析なんてやる必要がないと思っていませんか?自己分析は何歳になっても役に立ちます。大人になった今、自己分析を行うことで、自分と向き合って、やりたいことや、やりたくないこと、[…]

self-analysis-thumbnail
   

しゃべりおリンクバナー投稿記事内用

NO IMAGE

What's ”shabellbase”?

自分らしさは探すものじゃない、育むものだ。
明るい社会と未来のために、だれもが必ず持っている、“あなたらしさの種“を育てるヒントを提供するのがshabellのバリュー。
shabellbaseは、自分らしく生きる人の軌跡や考え方を綴った、キャリア、ライフスタイル、価値観にフォーカスし、“生き方図書館“ を目指すウェブメディアです。

CTR IMG
contact
us
LINE facebook