『日本酒のIchi-Go-Can』を通して日本の食文化にさらなる発展を。株式会社Agnavi代表 玄成秀の挑戦。

日本酒のIchi-Go-Can サムネイル

今回ご紹介するのは、株式会社Agnavi代表 玄成秀さんの革新的な挑戦。日本の食文化にさらなる発展をもたらすべく、日本酒を缶で楽しむという新しい商品を作り出しました。

なぜ今まで思いつかなかったのか不思議なほど、日本酒業界に激震を走らせています。

そんな玄成秀さんは学生時代に株式会社アグリペイという会社を起業し事業譲渡し、株式会社Agnaviを設立しました。
学生起業やクラファンについてもっと知りたい方はこちらの記事をぜひご覧ください。

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株式会社Agnavi 玄成秀さんと日本酒缶

 

日本酒は瓶で飲むものだ。徳利とおちょこで嗜むものだ。

こんな固定概念を持っている皆さんはぜひ読んでみてほしい。知ってみてほしい。

 

時代は自分の手でまだまだ変えられる、そんな気持ちにさせてくれる記事となっています。

 

株式会社Agnaviとは

株式会社Agnaviは、玄成秀さんが株式会社アグリペイを設立し事業譲渡した後に、2020年2月に新しく設立したアグリ・フードテック系のベンチャー企業です。

ミッションは生産者に多様な選択肢を

日本の生産者とグローバルな消費者をつなぐことをテーマに、埋もれている日本の食文化を、農学を通じて世界に発信する活動をしています。

メインで行っている事業内容は、「適量・オシャレ・持ち運び便利」を実現させた1合180mlサイズの缶入り日本酒”Ichi-Go-Can”。
Ichi-Go-Can ECサイト:https://ichi-go-can.jp/

Ichi-Go-Canのミッション

・一合缶を通じてクラフトSAKEを世界に広める。
・地方の歴史ある酒蔵が営利事業として存続安定できるようにするためのゲームチェンジャーとなる。
・消費者がさまざまな一合缶クラフトSAKEをワンストップで入手できる商流を構築する。

日本酒は瓶で生産されるもの、徳利とおちょこで嗜むものという固定概念をぶち壊し、革新的な缶の日本酒事業をスタートさせたのがAgnavi。環境配慮やコスト低減、購買層拡大などメリットはたくさんあります。

日本酒業界のゲームチェンジャーとして、世界初の日本酒缶専門サイトの開始や、人気漫画「もやしもん」とのコラボ、消費低迷する全国各地の酒蔵を支援するプロジェクトなどに着手をしています。

 

変わりたくないけど、変わらなきゃいけない

ー今までなぜ誰も思いつかなかったのだろうと考えてしまうほど、“Ichi-Go-Can”にはメリットが沢山ありますよね。そんな“Ichi-Go-Can”ができた背景を教えてください。

玄成秀さん:もともと日本酒って、”瓶で飲むもの”という考えが主流ですよね。でも日本酒の横に位置するビール業界を見てみてください。ビールって、日本酒と同じくもともと瓶ビールが主流でしたが、缶での販売が始まり、自宅やコンビニなどで手軽に飲まれるようになり、現在はシェアを7割取っているんです。世界でも6000億円くらい年間で売れているんですよ。

なので、単純に缶の方が瓶よりも消費者の需要があるわけですよね。同じように日本酒も、度数は強いけど4合瓶より缶のほうがいいんじゃないかって直感的に思ったんです。缶ビールがそれだけのシェアを取れるのであれば、日本酒もいけるだろうって。30% 40%のシェアを獲得するだけでもとてつもない経済効果を生み出せるんです。

酒蔵さんにもお話を伺ったところ、”ぜひやってみたい”という声をたくさん頂けたので、やってみようってなってトントン拍子に話が進み、今に至ります。

 

ー変わらない良さというか、「伝統は守るべきだ!」というような、酒蔵さんからのマイナスな意見は全く無かったのでしょうか。

玄成秀さん:もちろん反感はありましたね。ですが、酒蔵さんもやっぱり歴史を守って紡いでいくためには、”変わりたくないけど変わらなきゃいけない”という気持ちを持っているんですよ。

事実、缶ビールが市場で受け入れられているので、やらない理由はないと僕は思っていました。

一つ一つの酒蔵に会いに行って、覚悟を示してお話をすることでだんだんと賛同の声が多くなっていくようになりました。

 

ー漫画「もやしもん」を用いたクラウドファンディングを行っていましたが、このコラボの実現の背景を教えてください!

玄成秀さん:「もやしもん」は農学系の漫画で、東京農業大学が舞台となっているんです。そんなルーツがあるのにも関わらず、農大生とコラボをしてなにか取り組んでいる事例は無くて。インパクトもあるしやったほうが面白いはずだ!と思い、作者の石川雅之先生と講談社にコラボをお願いしたところご協力いただけることになったんです。

クラファンを行った結果として、1113万円という国内の学生が行ったクラファンで最高額を叩き出すことができました(笑)

また、応援してくれる人の割合も面白くて。30-40代など、若い世代が多かったんですよ。日本酒って60代が割合のピークになるんですが、瓶を缶にするだけで20代30代も囲えるという新しい可能性も感じられることができて、とても貴重な経験でしたね。

クラウドファンディング 農学原酒

 

 

日本酒業界の課題と可能性

ー今年の2月にブラジルでの実証実験を行われていましたが、今後海外進出も考えられているのでしょうか。

玄成秀さん:そうですね。遅かれ早かれ、ブラジルは市場として面白いなと思っています。ただ、国における輸入のハードルが高い国ではあるので、弊社単独でやるというよりは輸出企業と連携して参入して行きたいです。

輸入ハードルのお話で言うと、例えば香港や台湾、シンガポールは輸入のハードルが低い国なんです。なので海外を攻めていくフェーズになった際は、そういった国からアプローチをしていって、波及を狙っていくのも戦略の一つだと考えていますね。

 

免許や酒税、酒蔵など、日本酒産業が抱える課題についてどのように考えていらっしゃいますか?

成秀さん:課題はたくさん感じています。まずはDX化ですね。

DX化を図っていかないと、人件費などの削減できるはずのコストにお金をかけ続けていくことになるので。利益率を上げていくためにも、世界規模で日本酒産業を伸ばしていくためにも、整えていきたいなと感じています。

 

日本の食文化のリーディングカンパニーを目指して

ー今後どんなことに挑戦していきたいと考えられていますか?

玄成秀さん:会社においては、ありがたいことに現在たくさんのお話もいただけていて反響も良いので、甘んじること無くより良い影響を生み出し続けていきたいです。基本的にはサポート側で酒蔵さんの価値をいかに最大化できるかというのを常に考えています。もっともっと面白い世界観を作り出していけたらと考えています。

一方で、缶のビジネスをいつまで取り組み続けるかということも考えていて。できるだけこの業界は2-3年程度である程度形にしていきたいと思っております。

今は日本酒事業の色が強いですが、Agnaviのミッションは『日本の生産者とグローバルな消費者をつなぐことをテーマに、埋もれている日本の食文化を農学を通じて世界に発信する』ことなので、リーディングカンパニーを目指して、「食」の安全と安定供給を追求し土台を作り上げていきたいなとも考えています。日本酒は日本の食文化の重要なトピックの一つではありますが、もう少し横断的な事業を世界的に行っていくというのが僕の次のミッションです。

 

***

 

今回は前後編に渡り、株式会社Agnavi代表 玄成秀さんにお話を伺いました。
固定概念とは怖いもので、伝統文化であればあるほど、歴史が深ければ深いほど、その伝統を守っていかなければいけない、そんな気持ちに陥りがちですよね。
でも、守るためには変化も必要。そんなことを教えてくれたのが玄さんです。

日本の食文化にさらなる発展をもたらすゲームチェンジャーとしての、今後の活躍がとても楽しみになりました。日本酒缶がコンビニやスーパーに並ぶ日もそう遠くないかもしれませんね。

ECサイトはこちらから!
▷▷https://ichi-go-can.jp/

 

玄成秀さん
げん せいしゅう|博士(農芸科学) 起業家


1992年生まれ。群馬県出身。2008年と2011年に函館ラ・サール中高卒。2012-2016東京農大卒業、2018年東京農業大学大学院 農学研究科 農芸化学専攻 修士課程を修了(首席)。在学中に米国コーネル大学留学。(フードサイエンスを学びに)、株式会社アグリペイの代表取締役に就任(2019/2)、株式会社アグリペイの全株式を売却し、代表取締役を退任法人譲渡(2020/1)株式会社Agnaviの創業(2020/2)2021年3月、東京農業大学大学院 農学研究科 農芸化学専攻 博士課程を修了。博士(農芸化学)の学位を取得。論文題目は「ガン抑制タンパク質TSC2のメチル化による新規な制御機能の解析」。2021年4月より東京農業大学 客員研究員としても勤務をしている。

株式会社Agnaviagnavi.co.jp

 

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